【基礎編】世界遺産におけるトランスバウンダリー・サイトとは
こんにちは。
今回は、トランスバウンダリー・サイトについて説明します。
トランスバウンダリー・サイトとは
人為的な国境にとらわれない自然遺産、または近代的な国家の成立の際に国境で分断されてしまった文化遺産などを指します。
一言で言えば、2か国以上にまたがる世界遺産のことです。
トランスバウンダリー・サイトにおけるポイントは以下の二つのみです。
①関係締約国が共同で遺産全体の管理を行う事を、強く推奨されている
→代表国を選定して、その国が単独で管理する等ではありません。
②2か国以上にまたがる遺産であっても、それぞれが別々に世界遺産登録している場合、トランスバウンダリー・サイトには該当しない。
→アルゼンチンとブラジルにまたがる『イグアス国立公園』など、それぞれの国が別々に登録をした世界遺産もあります。こういったケースは、トランスバウンダリー・サイトとはみなされません。
代表的なトランスバウンダリー・サイト
①シュトルーヴェの測地弧(シュトルーヴェのそくちこ)
(ノルウェー・スウェーデン・フィンランド・ロシア・エストニア・ラトビア・リトアニア・ベラルーシ・モルドバ・ウクライナ)
ドイツ出身のロシアの天文学者であるシュトルーヴェが中心となって設置した測量地です。最初は2か国のみでしたが、どんどん世界遺産の登録範囲が拡大されてきて、現在では10か国にまたがっております。
地球上に数多くの世界遺産があると言っても、さすがにこの規模のトランスバウンダリー・サイトは他に例がありません。
②ル・コルビュジエの建築作品
(ドイツ・アルゼンチン・ベルギー・フランス・インド・日本・スイス)
国境どころか、大陸を超えた世界遺産があります。トランスバウンダリー・サイトの拡大版で、トランスコンチネンタル・サイトと呼ばれておりますが、現時点で唯一これに該当するのが、ル・コルビュジエの建築作品群です。
国立西洋美術館に訪れる際に、世界的にも珍しいトランスコンチネンタル・サイトの一つという点について触れれば、少し話が盛り上がるかもしれませんね。
他にも様々なトランスバウンダリー・サイトがありますが、どれもが魅力的な世界遺産です。
1ヵ国のみで管理・運営する世界遺産より難しい点も多いと思いますが、
『ボーダーレスな世界遺産を、複数国で管理する』
それ自体に、とても意味がある事だと思っております。
今回は以上です。
さようなら
※画像引用:Wikipedia