【番組紹介】2/17の世界遺産「ヒトが作った絶景 紅河ハニ族の棚田の文化的景観」について
こんにちは。
本日のTBS世界遺産は、『紅河ハニ族の棚田の文化的景観』のようです。
ただ、番組タイトルに『ヒトが作った絶景』とある事からも、おそらくは上記の世界遺産だけを取り上げるというよりも、前にご紹介した『文化的景観』という概念そのものがメインテーマになるのではないかと思います。
そのため、文化的景観を理解すれば、より番組が面白くなるのではと思っております。
文化的景観
文化的景観を簡単に説明すると、「〇〇の聖地」とか、「今も生き残っている伝統的農耕地」とか、『その自然があるからこそ、その文化が生まれた』という文化遺産に用いられる概念です。
つまり、格好つけた言い方をすると、『人間と自然との共存によって生み出された共同芸術』が文化的景観というものです。
詳細は、以前のブログをご参照ください。
ここからは、今回番組で取り上げる「紅河ハニ族の棚田の文化的景観」を始めとした、文化的景観に該当する2箇所の世界遺産をご紹介したいと思います。
紅河ハニ族の棚田の文化的景観
中華人民共和国/登録基準:(ⅲ)(ⅴ)
総面積160㎢に及び、3,000段を超える世界最大規模の棚田です。
日本最大級の棚田といったら、おそらく石川県の白米千枚田だと思いますが、白米千枚田の棚田枚数が1,000枚という事からも、想像を絶するスケールの棚田という事が窺えます。
この棚田は、少数民族ハニ族によって作り上げられました。
山岳地帯という厳しい自然環境の中、巨大な棚田群を作り上げたことも驚きですが、森や水などといった自然環境をフルに活用した独自の灌漑システムを作り上げた事こそが驚愕に値します。
人と自然との共同芸術という意味では、まさに文化的景観の代表例と言えます。
世界遺産に登録された棚田は、他にもあります。
コルディリェーラ山脈の棚田群
フィリピン共和国/登録基準:(ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)
フィリピンのルソン島に位置するコルディリェーラ山脈には、少数民族イフガオ族によってつくられた棚田があります。
この棚田の特徴として、2,000年もの間、農耕技術を口承によって受け繋いできたことです。そのため、2,000年前と基本的な作業はほとんど変わっていないとのことです。
急斜面が多く、機械を導入しにくいという事もあるだろうけど、たまに水牛とか使う程度で、手作業がメインとのことです。
なお、植え付けや収穫などの際に歌われる詠唱は、「イフガオ族の歌、ハドハド」として無形文化遺産にも登録されております。
コルディリェーラ山脈の棚田群ですが、若者の都市部への流出、あるいは他産業への転業などによって、働き手が激減してしまい、危機遺産に登録されておりました。
現在は危機遺産から脱出しているとはいえ、未来に文化を繋ぐことがいかに難しいのか、我々に教えてくれるような気もします。
最後に
少し前より、何かテーマを定めて、関連する複数の世界遺産を紹介するという番組構成が増えてきた様に感じています。
横の繋がりを重視する事は、今日の世界遺産の主流ともいえる考え方でもあるし、個人的にも大変ありがたいなと思っております。
今後も色々なテーマについてやってほしいですね。
以上です。
さようなら