【基礎編】文化的景観とは
こんにちは。
今回は、文化的景観と呼ばれる概念について説明したいと思います。
文化的景観を説明する前に、世界遺産の種類についておさらいをしますが、世界遺産は、文化遺産、自然遺産、複合遺産の三つにカテゴライズされます。
文化遺産として登録されるのか、あるいは自然遺産として登録されるのかは、10項目の登録基準をクリアしたかどうかによって判断されるという点も、以前に触れた内容です。
ただ、富士山のように、山への信仰があるからこそ、北斎の浮世絵など色んな文化が生みされたという意味では、文化遺産なのか自然遺産なのか一言では言えないものもあります。
このように、世界遺産を知れば知るほど、自然遺産の条件はクリアしていないものの、単純に文化遺産にのみカテゴライズしてよいのか疑問に抱く文化遺産がたくさんあると思います。そして、これこそが文化的景観というものです。
文化的景観について
この概念が採択されたのは1992年のことです。米米CLUBの「君がいるだけで」とか、エリッククラプトンのTears In Heavenがヒットした時代と考えると、自分と同世代の人からしたら、そこまで昔に感じないのかも。
世界遺産とは、1978年にスタートして以降、西欧諸国への偏りをなくすために様々な方策がとられて、その都度カスタマイズされてきました。この概念が誕生したのも、そういった背景があったと言えます。
アジアやオセアニア、そしてアフリカなど、自然との共存によって育まれた文化が多いエリアでは、この概念が適用されたことにより、数多くの遺産が世界遺産として認められる事になりました。
その第一号が、ニュージーランドにある「トンガリロ国立公園」です。先住民マオリ族の聖地として有名な火山帯ですが、1992年、世界で最初に認められた文化的景観でもあります。
文化的景観の三つのカテゴリ
文化的景観は以下の三つにカテゴリー分けされています。あえて要点だけ書きます。
①意匠された景観:庭園や公園
②有機的に進化する景観:農耕地
③関連する景観:聖地
どの遺産がどのカテゴリーに分けられているか、世界遺産条約上、特に明確にはなっていないようです。
なので、〇〇の聖地として有名とか、今も生き残っている伝統的農耕地とか、そういったものは文化的景観の一つといった感じで、アバウトに捉えてもらってよいと思います。
最後に、自分の大好きな文化的景観を紹介します。
この地を愛したイギリスの絵本作家であるビアトリクス・ポターは、この湖水地方を舞台に、世界的に有名な作品を作りました。
今年、映画にもなったピーターラビットです。
その雄大な自然があるからこそ、世界的に愛される作品が生まれた。まさに、文化的景観の代表例と呼べるのではないでしょうか。
映画も面白かったので、興味のある方は、是非見てくださいね!
今回は以上です。
さようなら。