【ニュース】韓国の世界遺産『慶州の歴史地区』について
こんにちは。
少し前になりますが、世界遺産関連で気になるニュースがありました。
話題に上がっている『月浄橋』がある場所ですが、『慶州の歴史地区』という名前で世界文化遺産に登録されております。
慶州の歴史地区
大韓民国:登録基準(ⅱ)(ⅲ)
韓国東南部にある、統一新羅の首都金城があった街で、日本では京都にあたる場所です。
仏教関連の聖域である南山地区
王族の古墳群がある大陵苑地区
新羅の王宮があった月城地区
など、いくつかのエリアに分けられているのが特徴的で、その中でも、東洋最古の天文台と言われているチョムソンデは特に有名です。
どうやら、この橋を復元工事した結果、中国湖南省にある回龍橋とそっくり(パクリ)の、本来の橋とは別物になってしまったようです・・・
今回のような考証に基づかない復元工事などを行った場合、世界遺産にどう影響するのか、最悪、抹消もあり得るのでしょうか。
真正性について
以前にも触れたテーマなのですが、世界遺産を考える上で、特に重要になるのが、『真正性』という概念です。
真正性とは、建物や景観などが、文化的背景の独自性や伝統をきちんと継承していることが求められるというものです。
今回話題になっている月浄橋ですが、本来は石造りの橋だったようですが、復元工事によって木造となったようです。
素材すらも全く別物になってしまった以上、真正性の概念からは逸脱します。
中国の橋のパクリかどうかは抜きにしても、この一点だけでも、完全にアウトと言えます。
どうやら、この歴史地区に関するオリジナルの資料などが乏しかったらしく、考証不十分による復元工事をせざる得なかった背景もあるようですが、おそらくは、月浄橋だけの問題ではないのかなと思われます。
復元工事が進んでるようですが、最終的には古都の雰囲気が微塵も感じられないエリアになってしまうのかもしれませんね。
世界遺産リストからの除外はありえるのか
では、真正性が認められないと判断された場合、世界遺産の取り消しはあるのでしょうか。
以下は私の予想です。
現時点では、まだ取り消しという話が出る事にはならないとは思います。
ただ、毎年夏に開催の『世界遺産委員会』にて、おそらく本件に関しては議題に上がるのではと予想します。
そこでの話次第ですが、場合によっては、危機にさらされている世界遺産リスト、いわゆる『危機遺産』扱いされる可能性もある気がします。
危機遺産リストに登録された際は、改善に向けての保全計画の作成と実行が求められますが、上述のように、オリジナルの遺跡に関する資料や記録がほとんど残っていないという問題点があります。つまり、真正性を証明する術がない。
どうなるのでしょうかね。
今後の動向をチェックしたい件でもあります。
今回は以上です。
さようなら。